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2−2−3 道内造船業者に対する要望・アドバイス(海洋土木事業者側からの意見)
ヒアリング調査においては、各海洋土木事業者から、今後道内造船業者が本格的に作業船市場に参入するに当たって、ユーザーの視点からの要望やアドバイスも指摘された。ここでは、技術面、価格面、営業・情報面、その他の面について紹介する。
技術面
・オーバースペックを解消し、いい意味での『手抜き』を学ぶべきである(顧客ニーズを満たす)。
・技術面での提案力・コーディネート能力を高めるべきである。
・北海道の海象条件や工事にマッチしたノウハウや情報提供が可能になれば、競争力はかなり高まるであろう。
技術面での提言として、先に道内造船所では漁船造りの経験に裏打ちされて「必要以上に丈夫な作りをする」とか「仕事が丁寧すきるため高価格体質になってしまっている」といった指摘を紹介した。海洋土木事業者の捉え方として、道内造船所の建造する特に台船などは、オーパースペックと感じられる部分も多々あることが指摘されてい乱そのため、造船所としては、顧客はどの程度の丈夫さを求めているのかという顧客ニーズを十分汲み入れ、その上でコストダウンを図るための、いい意味での『手抜き』を今後は学ぶ必要があるのではないかとの意見も多く聞かれた。
さらに、作業船に関する特に技術面での(特に上ものの使い勝手等に関する)提案力、ひいては価格や性能など顧客メリットの極大化を図るためのコーディネート力を向上させる必要があるとの指摘も多かった。特に道内造船所が競争優位性を発揮できる点として、北海道の海象条件や工事にマッチした技術・ノウハウ等の情報提供をあげる海洋土木事業者も多かった。『北海道の海を知っている』強みを活かし、前向きなアドバイスを行ってくれれば、発注ニーズあるいは信頼度も向上するであろうという捉え方をしている業者が多く存在した。
価格面
・道内で起重機船等が安心して建造できるようになれば、本州建造に要する回航費や人員派遣などのコストが削減でき、一番望ましいのだが…。
価格面での要望として、海洋土木事業者側の根本的なニーズとしては、道内で安心して新造できるようになれば本州で建造するよりも安上がりであるため、道内造船所の技術能力及び価格競争力の向上を切に願うといった意見が多かった。
営業・情報面
・ユーザーニーズを汲み上げる努力を継続して行うことが、海洋土木事業者側の期待に応える最短の方法である。
・クレーンメーカーとのジョイントやタイアップを検討すべきではないか。
・本州業者の中には、かつて建造した設計図等を初期の打合せから提示してくるため、具体的な話し合いが進めやすい。
・どこかの造船所が建造した起重機船の試乗会を実施するべきである。
営業・情報面での要望として、現時点では造船所の営業努力不足を指摘する声が多いだけに、今後のユーザーニーズの汲み上げ努力が必要との声が多かった。特に、甲板艤装等の上ものの使い勝手や居住区廻りの快適性なと、作業船を操作するオペレーターニーズを十分反映させたものを志向するべきであるとの指摘が多かった。
また、海洋土木事業者が起重機船の新造を検討する場合、『まずクレーンありき』の思想かあり、クレーンメーカーあるいは代理店(商社)へ接触することか多いとのことから、クレーンメーカーとのコネクションを強化し、台船部建造のジョイントやタイアップを検討すべきで

 

 

 

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